ものさし

 

 

豆電球だけが灯る部屋で、

私は冷凍マンゴーを食べる。

 

もの寂しいから爆音で音楽を聴いたよ。

 

爆音だから、父のいる部屋にまで

聞こえてしまうかもと不安だった。

 

でも何でも良かったんだよ。

ここだけは自分の居ていい場所さ。

 

そう思って爆音で流したんだ。

YouTubeに上げられている

踊ってばかりの国「それで幸せ」のライブ映像を聴いたのさ。

あまりにもその映像は眩しくて

私は携帯を伏せた。

 

音だけでわかるんだ。

見なくてもわかるよ。

 

見なくたって言葉も音もわかった。

 

この薄暗い部屋だったら、

私は君を見つけられる。

 

どこにいるのかも探せるよ。

 

この部屋だけが夜を孤独を感じられる場所。

 

きっと君が私に会っても、

「もう寝てしまうの?」と聞くだろうか。

 

私そんなことよりも、

「僕が見えるかい?」と囁いてほしいよ。

 

私は迷わず「見えないよ」と言って

君にキスをするから。

 

 

溶けかけのマンゴーは甘いが、

一つか二つ、酸っぱいものがある。

 

君と一緒に食べたのなら、

どういうんだろう。

 

君に会わないと何もわからないや。

 

 

ー長い遠い近い短いそんな命と愛