一人暮らし
ベッドの上で片足をあげる。
その足が、間接照明に照らされて影が壁に映る。
なんか、寂しくなって、ドキドキして、
誰かと影ごっこしたかった。
あなたは、影を使って犬や狐をしてくれた。
もう指折り数えて両手では収まらない年齢。
そんなあなたは、動物の鳴き真似をして、
私を喜ばせた。
けらけら笑う私を見て、あなたが私を見つめる。
そしたらはにかみながら、唇。
ずるいなんて、口出す間も無く、もう一度もう一度。
そして笑う。影が1つだって。
バカにされてもいい、
寂しさなんて忙しさで紛らしたらいい。
指が絡んで、手が重なる、あの時が忘れられない
そんなことが忘れられない、
忘れるなんてできないから、また紛らしたらいいの。
強さなんて、本当は無くて、誰も強くない。
強い人は強いって言わないと壊れてしまう人、
強いって言われないと潰れてしまう人。
光と影は私の気持ちと重なって、あなたとも重なって、愛なんてものも本当は重なってる。
重なって、透かした時きれいだねって
またあなたは笑うかしら、きっとあなたは
私を見て「ほら、きれいだよ」って、
私に見せてくれるの。宝物みたいに。
手探りに声を探して、私の姿が消えたとしても。この部屋に染み付いた私達の声や匂いが、
百合の花みたいにしつこくて、目をこすった。
目をこする私をいつも叱るあなたは、
いつも優しかった。優しい嘘をつく人でした。