umi

あの駅に降りてあなたの迎えを待つ。

ううん、私あなたを待ったこと一度もなかったね。

いつもあなたが1時間も前に、そこで待ってた。

心配性だからと、緊張してと、

情けなく笑ったあなたと雨風が強い中海辺を歩いた。

あの海は、もう誰の海でもなくて、

傘の中で見つめ合ったあの時間は

砂のように舞って消えた。

砂で遊んだ、君との時間が

私に時間を知らせてくれる。

あなたとの海はどんよりとした雲に包まれていたのに、

君との海は紛れもなく快晴だった。

 

遠い場所まで歩いて、何を話したのか

私は緊張で覚えていない。

君と会うと緊張が解けているようで

緊張している。

矛盾でいっぱいの私にそっと手を繋いでくれた。

私は、ずっと幻をみているようで

浮遊感で満ちてる。

君も浮遊感で満ちてるのかな。

いつか2人で海の底に足をつけられたなら、

きっと笑って抱き合うに違いない。

 

抱き合って、ちょっと見つめてキスをする。

それが君から注がれる光。

眩しくて、目が開けられなくなるほどに、

私の胸を焦がすんだね。

 

会っていない時間も

絶え間なく愛を注ぐ君を、

私は抱きしめて離さないよ。

そっと祈るように