縄
自由は二十歳になれば来ると思っていた。
幼き自分は馬鹿で滑稽だった。
そんなもの来ないのだ、"家"がある限り。
そう、縄なのだ。
私にとっては自身を縛るただの縄。
それなのに、私はその縄に怯える。
あなたの縄はなんだろう。
縄なんて無いのかな、無いのが普通か。
私はどうして今血縁関係のある人間を恐れて生きているのだろう。
無意識は怖い。
切れないのだ、その関係を。
生まれてこの方、記憶にあるうちで母親以外に褒められたことがない。
ずっと叱られ続けた約二十年。
もう自分の存在価値は"家"では見出だせない。
外に出ると、一人でいると、
ほんとの自分がふわっと見える。
そんなふうに私は生きたい。
自由をふわっと感じて、あの頃を笑える
そんなふうになりたい。
夜道を自転車で通った時に流れた涙は
しょっぱくもなく、暑さにやられて
生温く不味かった。
―あの日のように母と抱き合いたい