2019-01-01から1年間の記事一覧

解凍

私は、よく思い出を解凍した。 寂しい時や悲しい時に、 キラキラしたあの頃を温め直す。 冷凍された思い出のストック。 ジップロックに1つずつ丁寧に入れてある。 たまに、あの頃によく聴いていた音楽やあの人が教えてくれた曲やブランドを聞いたり見たりす…

朝方、目が覚めて

夕方5時、それは夜更かしした朝の4時 君と長電話したあとに眠ろうとしたあの時の明るさと同じ夕方の明かり 西日に朝を感じ、スマホのブルーライトに夜を感じる 小さいことに気付ける私の脳は便利で時に不便利で 好きだった人の幸せを願うのに実際に見るとな…

ビューティフル

美しさ、 それは瞼を閉じた時に感じるあの光。 みんなが口ずさむあの歌。 もう会えなくなってしまった記憶。 見ることができないあの人。 手からこぼれ落ちそうな もう落ちてしまっている そんな何かを掬い上げて透かして あなたの美しさを感じたい。 僕らは…

umi

あの駅に降りてあなたの迎えを待つ。 ううん、私あなたを待ったこと一度もなかったね。 いつもあなたが1時間も前に、そこで待ってた。 心配性だからと、緊張してと、 情けなく笑ったあなたと雨風が強い中海辺を歩いた。 あの海は、もう誰の海でもなくて、 傘…

蜻蛉

忘れないうちに、書き記す。 あの時の日差し、体温、鼓動、湿っぽさ、 会話、沈黙、目、横顔、 ふたりだけが触れ合えるあの時間を、 別れさえも愛おしく思い帰った夜を、 夢の中でも思い返して、現実と空想を行き来した。 君の顔が見れずに、見たあの景色が …

二重幅

昨日、久しぶりに月が顔を出した。 そんな些細なことに胸を躍らせるのは、 きっと2年前の私と変わりがない。 時の流れに心寂しくなる時が、たまにある。 そんなたまにの時が、 ふと顔を出した月が誘い込む。 朝、眠たい中 無意識のうちにいつもの電車に乗り…

一人暮らし

ベッドの上で片足をあげる。 その足が、間接照明に照らされて影が壁に映る。 なんか、寂しくなって、ドキドキして、 誰かと影ごっこしたかった。 あなたは、影を使って犬や狐をしてくれた。 もう指折り数えて両手では収まらない年齢。 そんなあなたは、動物…

嘘と目と声

今年も君を忘れられなかった 私を見るあの悲しそうな優しい目は、私だけのものだったのに、もうそれは嘘。君は嘘しかつかない、ううん、嘘すらもついてくれない。何も話してくれなくなってしまった。ふたりの間の思い出は綺麗で、その思い出にふたりは恋をす…

H2O

何が合って何が合わないか、最近わかるようになった。この暮らしをしていたら出会わないような人に会った。会った、会っただけ。合ったのか。合ってないのか。シャットダウン。私からさようなら。私の中の私すらも零れ落ちてしまう、そんな自分を愛したい。…

「傘の中に2人一緒に入ろうね」 雨は冷たくて、鬱陶しくて厄介。 だけど、音はシトシトと心を慰めてくれる。 あなたの側で、この音を聞くことができたら、 私は冷たくて厄介なものから守られている証拠。 別々の傘をさして、出会って どっちの傘に入るか、な…

完璧

完璧って皮肉な言葉。 完璧があるから、間違いを恐れる。 邦画を観ると苦しくなる。 日常が時に映画の中に入った感覚に陥る。 音楽を耳に垂れ流すことで、見えるものも 見えないようにしてる。 そんな日常、映画みたいだった。 フィルムに焼き付けるには勿体…

新幹線

何人組ものカップルが新幹線のホームでわかれるところを見た。別れは悲しいけど、私から見たら美しいと思った。出発してしまう最後まで手を振り続ける。何も話さない。ただ見つめ合って、手を惜しみなく振る。愛ってこういうことなのかなってわかったような…

手のひら

悲しみを濁さなきゃ流さなきゃ逃がさなきゃ。悲しみを皺寄せすることで、心の余裕を取り持つ。そんなのは付け焼き刃。生活自体が付け焼き刃だと感じた。明日を生きるために、何が必要で何をしなければならなくて。遠い未来を考えてみたい。でも今明日明後日…

鱈腹

東京に晴れも雨も関係なかった 晴れているから 雨が降っているから そんなこと関係ない 関係なしに時間が進んでいる場所だった 東京駅はビルでいっぱいだったけど、 それよりも東京駅からまっすぐに広がる道路の先は 空がひらけていて、ビル1つなかったこと…

無題

誰にも会いたくないと思って、家を出た。そういう時の方がいいことがある気がする。誰かに良く思われたくて出掛けた方が、何かと災難に遭う。 みんなの時間の流れを知りたい。電車に乗ってる時間、たった30分でも朝から夜くらい長く感じる。これは少し大袈裟…

キャラメル

口の中でスルスルととろけてしまった この感情もスッとお腹に落ちていく あなたは悲しい時、思い出に残るくらい美味しいものを食べなさいと言ったけど、 私はあなたと美味しいものを食べたい そうしたなら、きっとどんなことも とろけて消えてしまうだろう …

真上の月

私が彼に「あ、月」と呼びかけたら、一緒に月を見上げた。あの瞬間がずっと残ってる。 「明日はスーパームーンらしいですよ」 「見れるといいね」 私は明日雨が降ること知ってた。だけど彼といるときは、晴れていることを願う。 なぜならあなたが晴れて良か…

人はきっと悲しみを抱いている時の方が、 生きていることを深く実感すると思っている。 幸せだと感じる時、嬉しいと感じる時が、一瞬でもっと余韻が続けば良いのにって。 でもその時はきっと幸せで嬉しさで身体中が いっぱいだから、他に何も考えられないん…

はやくして

私は、最果タヒさんの詩が好き。 タヒさんのツイートを引用して「生きていることが寂しい」とツイートしている人を見た。なんで寂しいんだろう。わたしたちは、ぽかぽかの胎内ですくすくと大きく育ってこの世に生を得た。そして、あたたかな愛に包まれて育っ…

入浴剤

音に溺れる 泡のように浮かんでる ただそこにいて 揺れている 刹那 誰にも言えないこと たくさんの秘密をひとつの体に 集めて、不安で苦しくなる どうして秘密は隠し事は 増えるばかりなのに 私たちの体はひとつしかないの 苦しくてもう泡になって消えてしま…